春、結城神社のしだれ梅の香りが漂う頃、伊勢湾に春のいぶき「小女子」が揚がりはじめます。熊野灘の鮪が届き、志摩の磯に新芽をいっぱい含んだ「あわび」が解禁になると、季節は夏。シンコ、スズキ、シロギス、山辺の清流からは香魚(あゆ)。メゴチが姿を見せ、青柳、鯖に油がのりだすと、秋。ヒラメ、赤貝、鰤の冬。 四季折々の旬の恵みと共にある、私たち寿司職人はつくづく果報者だと思います。ご恩返しは、自然からの頂きものを、丹誠込めてよりおいしく磨き上げることだと念じています。
私どもの素材は、伊勢の前海の物はもちろん、優れた産地の逸品ならばどこのものでも追っかけます。
しかし、私共は「江戸前」の伝統的な仕込みの姿勢を崩そうとは思いません。素材の持つ美味しさを徹底的に引き出すための仕事こそ、寿司本来の奥深い味わいだと思うからです。





